EVENT 作品紹介(5/19-5/24at下北沢)

こはぜ珈琲

小川 紗奈

 

犬のぬいぐるみが好き。かわいい。名前はミルクさん。かわいい。

他人とする楽しいよりも一人でする楽しいの方が楽しい確率が高い気がする。一人で寝るまえする妄想が楽しい。

だから寝る前にする妄想に出てきた頭がミルクさんの裸婦を描いてます。昔話にでてくる天女のようなイメージです。寝てる私の周りにいてマイペースに過ごしているのが愛おしいと思います。

清川 漠

 

この作品の主役は描かれているペイントだと思うかもしれないが、実はその上に被せたガラス板である。

ガラス板も勿論ゴミとして捨てられていたものだ。このガラス板の形に合わせてペイントされた紙を切り挟み込んでいる。このペイントは以前私ライブパフォーマンスした際に絵の具が偶然的に飛び散ったものである。ライブペイントで描かれた絵は全体で3100mm×1000mm×2100mm(w×d×h)と大きいものだが、ガラス板に合わせてそれらを分割したものとなっている。大きな画面を構成する一部分をそれぞれ強調した時に作品になり得るのか。またどのように見え方が変わるのかを自分なりに丁寧考えながら制作した。

 

この作品は並び替えることでまた違った見え方をする。作品として配置する際に並べ方を変えて構成をし直せるものになっている。作品1つの大きさが小さいことから、1つずつ空間を空けて飾ることや、全てを密着させ1つの大きな画面としても飾ることができる。飾る場所によって作品の形態が変化する自由な作品になっている。

喫茶ギャラリーgeki

石井陽久

 

私たちは物の形を光という存在から受け取っています。光ってなんだろう、そう考えた時にひとつの答えとして「グラデーション」が頭に浮かびました。光源からの距離で変化する明るさは一定であることがありません。そんな変化の中で暮らしていることをよりいっそう強く感じさせてくれる形を作ってみました。

内田 爽

 

『 光陰 』は杉本博司の《 海景 》にインスパイアを受けた作品群である。

《 海景 》をはじめて目にしたとき、私は理由も分からず涙を流した。そして全身の細胞が一つ一つが震え立つような感覚に襲われた。それから幾分かの年月が過ぎても、私はその衝撃的な体験の訳を見つけることができないでいた。

『 光陰 』はその理由を見つけるために制作された。初期の作品『 光陰  I 』『 光陰 II 』は、特に《 海景 》に構図や構成、明暗が酷似している。そして写真の持つ画面の端から端までピンと張り詰めた雰囲気を、そのまま描写することで理由を掴もうと試みた。

 同時に、私は自身のアイデンティティにも理由があるのではないかと考えた。そこで自分自身のルーツ(自分史)を探る活動も並行して進めた。

 自身のルーツを探る中で、私は母方の家系からアイヌ民族の血を継いでいることが分かった。私がこれまでにその血筋の事実を知らずに生きてきたのは、母方の家系の配慮であったのかもしれない。

 アイヌ民族は、その生活の拠点である北海道という立地から、海との関わりが深い。そして民族として苦難の歴史を辿っていることは言うまでもない。自覚のなかった私がその歴史を語ることは許されない。しかし、もしも海景を目にしたときのあの衝撃的な感覚の由縁が、私の血筋にあったのなら、私の中で全てが繋がったように思われた。私の祖先が見た海景と同じ《 海景 》を、私も見たのだ。

 この事実を知り、私は『 光陰 III 』を制作した。画面中央の絵画には、今も昔も変わらない普遍的な景色が描かれている。絵画を囲う風化した壁のようなものは、小窓をモチーフとした。その素材には実家の一部分を用いている。

 時間によって風化し、意識や記憶は薄れ忘れてゆく。これは避けられないことだ。そのような時間の中にあっても、人は普遍的な景色を通して過去と繋がり、忘れかけていた本能に近い記憶を呼び覚ますことができるのではないだろうか。私にとってその景色は海景であった。そして記憶が呼び覚まされたとき、私は生命の奇跡のような壮大な繋がりを想い起こし、生きることへの実感とその美しさを感じた。

 このような背景のもと、今回展示させていただいた『 光陰  』シリーズの三作品は制作されている。私自身の衝撃的体験、私自身のルーツ、アイデンティティといった極めて私的な問題を出発点としており、他者との共感や共有という段階にはまだ不十分であることは痛感している。今後、いかにして私の体験を共感や共有へと繋げてゆくのかを課題としたい。

後藤帆南真

 

三つの建造物はこの世に存在しない景色をかいています。しかしどこかで見たことあるようで行って見たいような世界を私なりに描いています。

『二つのりんごは見たままの姿を描いているが今この瞬間のあなたにはこのリンゴがどう見えますか?その日のあなたによって美味しそうだったり不味そうだったり・・・・』